東京中小企業同友会でロジカル・コミュニケーション講座させていただきました
先日、東京中小企業同友会の勉強会で「社長が学ぶべき 伝え方講座」を開催させていただきました。
ロジカル・コミュニケーションとは「わかりやすい伝え方」のことですが、これまで法人向け研修として新入社員から管理職まで幅広く受けていただきました。
私がそんなこれまでの経験の中で切に感じていたのが「社長さんにこそ、ロジカル・コミュニケーションはマスターしていただきたい!」ということです。
なぜなら、やはり経営者は誰よりも影響力大です。
そんな影響力を持つ人が「自分の伝えたいことを正確に伝える」ことができなかったら、会社全体で大きな損失になってしまいます。
「部下が全然言った通りに動いてくれない」状態では会社が回りません。
このような理由から、ぜひ社長さんたちにこれをマスターしていただき、お役立ていただきたい!と勉強会を開催しました。
コミュニケーション力は本当に何事においても影響力大!です。
人は、理屈で付き合うのではなく「人間性」で付き合います。
しかし、その「人間性」の出し方はほぼ「コミュニケーション」で決まります。
これは仕事も、人生も同じ。
講座ではここでわかりやすい例としてコミュニケーション力アップで売り上げが上がった例を紹介しました。
こちらはコミュニケーション研修で、入室率が前年比 2.12倍にアップした大手幼児教育会社の例
こちらは1.7倍になった飲食店の例
このように、コミュニケーション力アップによる恩恵ははかり知れません。
それには理由があります。
「コンテクスト」って聞いたことありますか?
これはだいたいの人には聞き慣れない言葉かもしれません。
コンテクストというのはここでは、コミュニケーションの基盤のことを言っています。
これはコミュニケーションの土台になっているもののことなので、例えば、言葉がありますよね。
日本語と英語、日本語と中国語、言葉が違うと、当然コミュニケーションの基盤が違います。
あとは、経験とかも、そうですね。
小さい頃から知っている家族同士とか、長年の友達とか、ずっと一緒にいる同僚とかは
一緒にした経験がたくさんあるので、コミュニケーション基盤をたくさん共有している。
そうなるとあ・うんの呼吸で通じてしまいます。
息が合うというか・・・。
以心伝心みたいな会話ができてしまう。
逆に、初対面の人同士とか同じ同僚だったとしても昨日入社した新入社員の人とは、
経験を共有していないので、話がなかなか通じにくいです。
そして、このコミュニケーションの基盤をたくさん共有しているのをハイコンテクストと言います。
つまり、同じ経験や価値観をたくさん持っているとハイコンテクストとなります。ハイとはhight (高い)のこと。
だから、生まれた頃から知っている家族とか長い付き合いのある友達とか、同僚とかそんな人同士はハイコンテクストとなります。
反対にローコンテクスト(low)とはその逆ですね、経験や価値観などであまり共通項が少ない人。
初対面の人同士はそうですよね。また、同じ同僚だったとしても昨日入社した新入社員の人とはローコンテクストとなります。
そんな人とは、たくさんコミュニケーションを取って、言葉でたくさん説明しながら話をしないと通じないです。
図に書くと、こんな感じです。
コンテクストをたくさん共有しているほど、言語に依存するのが少ない。(ハイコンテクスト)
コンテクストを少ししか共有していないと、言語にたくさん依存している。(ローコンテクスト)
になるってわけです。
つまり、家族とか親しい友達とか同僚などはハイコンテクストな間柄。
詳しく説明しなくても、通じ合ってしまう間柄なんです。
だから、話がいくら飛んでいても、分からなくても「分かり合える」コミュニケーションになってしまうのです。(分かり合える気になった・・・というべきか)
これは、ごくごく自然なことなのです。
ハイコンテクストな間柄(例えば家族とかずっと一緒に仕事をしている同僚とか長年の友達とか)とはコミュニケーションをとる時にはいちいち言わなくてもいいし、とても楽です。
ハイコンテクストは、ある意味省エネなコミュニケーションです。
しかし、コンテクストが違う相手に話をする時には気をつけなければいけません。
そんな相手に通じるという前提で話してしまうと、
・話がダラダラ続いて、結論がわからなかったり
・話がどんどん飛んでついていけなかったり
・単語だけ言っていてなんのことかわからなかったり・・・と、
全然通じなくなってしまうからです。
長くなったので一旦まとめます
・コンテクストとはコミュニケーションの時に共通する、言語や経験、価値観などのこと
・コンテクストをたくさん共有しているのをハイコンテクストという
・ハイコンテクストは通じやすい状態
・ハイコンテクストが前提で話すと、コンテクストが違う相手には通じにくくなってします。
この説明は、とても大事な部分です。
なぜなら、コミュニケーション力は目に見えないものなので、なかなか客観視できません。
ですから、このように客観的に捉えることができるような話をして理解することが必要なのです。
そうすると、私たちのコミュニケーション上の問題点が理解できるようになります。
問題点を理解できれば、もうほとんど解決策はわかったようなもの。
だから、このパートはいつもしっかり説明させていただきます。
そして、講座では私たちハイコンテクストな日本人がすぐにできる「わかりやすい話し方」の3ステップをご紹介しました。
これは「ロジカル・コミュニケーション®」のテクニックと呼んでいて、これまで多くのロジカル・コミュニケーション研修でご伝授してきたものです。
「ロジカル・コミュニケーション®」のテクニック
ステップ1 話の内容を大きく分ける
ステップ2 分けた情報に「ラベル」をはる
ステップ3 「ラベル」で予告する
実際の内容を説明していると、長くなるのでここではしませんが、実際にこのテクニックを身につけるための演習問題をしてもらいます。
これは正直非常に難しい。
なぜなら、こんなふうに情報を整理する、ということを普通はやったことがありません。
しかし、これを通して「いかに普段情報整理しないで話しているか」ということを体感してもらうことがとても大事なのです。
この演習を終わると、皆さん改善された「わかりやすい話し方」を聞いて、その違いに驚かれていました。
「これから会議や報・連・相の際にこのテクニックを使ってみたい」
「まさに目から鱗でした。ぜひ、すぐに実践したい」
「自分のコミュニケーションを振り返ることがなかったのでとてもいい機会になりました」
「大変勉強になりました。役立てられそうです」
「こんなふうにわかりやすい話し方ができるとは、体系だてられていて本当によかった」
経営者の方々でしたので、大変積極的に取り組んでいただき「自分だけでなく、社内でも生かそう」という声も多く聞かれました。
本当に社長にとってコミュニケーションは命綱になります。
そんな必須能力の向上にお役だていただければ嬉しいです。