ロバート秋山の話し方が笑えるけど、笑えない理由とは。
このyoutube動画、ロバート秋山のクリエイターズ・ファイル動画シリーズってほんと笑っちゃうんです・・・(2:00くらいから4:00くらいまでと7:00位から8:00くらいまで。マザーエアラインのくだりはとりあえず、飛ばしてください。)
今回この動画を取り上げたのは「よくある話し方」だからです。
この話し方って、まぁ、デフォルメして面白おかしくしてはいるものの・・・
あるあるじゃないですか?
ひとことで言うと
「何を言っているのかわからない」ってことです。
では、なぜこんな話し方になってしまうのか、
その原因を考えてみました。
ひとことで言うと、 思いつくままに整理をしないで話すとこんな話になってしまいます。
それは例えば、
動画の2分過ぎぐらいで故郷青森の話になります。
お父さんとお母さんのことそして、お父さんの口癖から思いつくままに話していきます。
お父さん、橋的亀治郎さんの写真・・・かなり不鮮明・・・
話のポイントがどんどん飛んでしまいます。(2:00くらいから4:00くらいまでと7:00位から8:00くらいまで)
食べるものがない
↓
川の水を飲む
↓
バナナの皮まで食え
↓
お前らの根性を試せ
↓
お天道さま見上げてみろ
↓
お天道さまはお前らの味方じゃない
・・・とまぁこんな感じですね。
実は、私たちは日常こんなふうに思いつくままに話をして、全く通じてないということがほとんどなのです。
一説には、私たちは話していることの20%しか通じていないとも言われています。
・ちゃんと伝えたはずなのに部下が全然思い通り動いてくれない。
・確認を取ったのに、コミュニケーションミスが起きている。
・2回も説明したのに、勘違いされた
・
・
・
こんな経験はありませんか?
そんなケースでは相手の理解力が低いと思ってしまいがちですが、そのほとんどの原因が話し手にあるのです。
でも
「ああ、私そんなコミュニケーションをやってるわー」
と思い当たる節があるのなら、改善の可能性はとても高いです。
なぜなら、一番の問題は自分の話し方には問題を感じていない、
あるいは、通じている、自分自身も相手の話をよく理解できていると思い込んでしまうケースです。
この動画の橋的さんのように・・・
しかし、なぜ橋的さんはこのわけのわからないお父さんの話が理解できたのでしょうか?
それは、橋的さんの育った環境に理由があります。
つまり、お父さんの話を生まれた頃から聞いていると、違和感なく、わかったようなつもりで聞けてしまうのです。
おまけに、この話し方に慣れてしまった橋的さんは、自分もそんな話し方をするようになってしまいます。
遺伝もあるかもしれませんが、環境が大きいです。
環境の中でも「コンテクスト」って聞いたことありますか?
これはだいたいの人には聞き慣れない言葉かもしれません。
コンテクストというのはここでは、コミュニケーションの基盤のことを言っています。
これはコミュニケーションの土台になっているもののことなので、例えば、言葉がありますよね。
日本語と英語、日本語と中国語、言葉が違うと、当然コミュニケーションの基盤が違います。
あとは、経験とかも、そうですね。
小さい頃から知っている家族同士とか、長年の友達とか、ずっと一緒にいる同僚とかは
一緒にした経験がたくさんあるので、コミュニケーション基盤をたくさん共有している。
そうなるとあ・うんの呼吸で通じてしまいます。
息が合うというか・・・。
以心伝心みたいな会話ができてしまう。
逆に、初対面の人同士とか同じ同僚だったとしても昨日入社した新入社員の人とは、
経験を共有していないので、話がなかなか通じにくいです。
そして、このコミュニケーションの基盤をたくさん共有しているのをハイコンテクストと言います。
つまり、同じ経験や価値観をたくさん持っているとハイコンテクストとなります。ハイとはhight (高い)のこと。
だから、生まれた頃から知っている家族とか長い付き合いのある友達とか、同僚とかそんな人同士はハイコンテクストとなります。
反対にローコンテクスト(low)とはその逆ですね、経験や価値観などであまり共通項が少ない人。
初対面の人同士はそうですよね。また、同じ同僚だったとしても昨日入社した新入社員の人とはローコンテクストとなります。
そんな人とは、たくさんコミュニケーションを取って、言葉でたくさん説明しながら話をしないと通じないです。
図に書くと、こんな感じです。
コンテクストをたくさん共有しているほど、言語に依存するのが少ない。(ハイコンテクスト)
コンテクストを少ししか共有していないと、言語にたくさん依存している。(ローコンテクスト)
になるってわけです。
つまり、橋的さんととお父さんとはハイコンテクストな間柄。
詳しく説明しなくても、通じ合ってしまう間柄なんです。
だから、話がいくら飛んでいても、分からなくても「分かり合える」コミュニケーションになってしまうのです。(分かり合える気になった・・・というべきか)
おまけに、橋的さんはお父さんと同じ話し方を自然に身につけてしまいました。
そして、 そっくりな話し方になってしまった。
これは、ごくごく自然なことなのです。
ハイコンテクストな間柄(例えば家族とかずっと一緒に仕事をしている同僚とか長年の友達とか)とはコミュニケーションをとる時にはいちいち言わなくてもいいし、とても楽です。
ハイコンテクストは、ある意味省エネなコミュニケーションです。
しかし、コンテクストが違う相手に話をする時には気をつけなければいけません。
そんな相手に通じるという前提で話してしまうと、
・話がダラダラ続いて、結論がわからなかったり
・話がどんどん飛んでついていけなかったり
・単語だけ言っていてなんのことかわからなかったり・・・と、
全然通じなくなってしまうからです。
橋的さんとそのお父さんの話し方のように・・・・笑
橋本さんとお父さんはすごくいい人そうですね。
でも、せっかく、 いい人がいい話をしても伝わらなければ、その価値が他の人には分かりません。
私たちの身の回りの話し方または自分自身を振り返ってみると、実は同じ残念な現象が起きています。
わかりやすい話し方の第一歩は、自分の話をわかりやすいかどうかという視点で見てみることです。
そこで、その視点で見て、話し方を変えていけば誤解が少なくてすみます。
でも、自分の話し方を振り返るのって、とても難しい。
この橋的さんの話し方は、そんな自分の話し方に対する気づきを与えてくれます。
これを見て、大いに笑った後にふと
「でも、そういえば笑えないかも・・・」なんて気持ちにさせてくれる動画です。
・コンテクストとはコミュニケーションの時に共通する、言語や経験、価値観などのこと
・コンテクストをたくさん共有しているのをハイコンテクストという
・ハイコンテクストは通じやすい状態
・ハイコンテクストが前提で話すと、コンテクストが違う相手には通じにくくなってします。