コミュ力におけるハイコンテクストのメリット・デメリット
インド人を黙らせることと
日本人をしゃべらせることだ
こんなジョークを聞いたことがあります。
そうなのです!
私たち、日本人は世界の中でも「コミュニケーション」量においても、質においてもあまり得意とはいえません。
まぁ、インド人の例はおいておき、TEDスピーチなんか見てもアメリカ人のプレゼンが上手なことといったら!!
別に人前で話す職業ではない人も、かなり上手ですよね。
ちゃんとジョークを入れながら、聴衆の気持ちを掴んでいっています。
・・・・一方で、日本人・・・ザンネンすぎる・・・
「英語」というのを差し引いても、
・面白くない
・自信なさげ
・真面目すぎ
そして
・何が言いたいのか、わからない
などというケースも・・・。
相当、エライ地位にいる方も、このようなケースは見受けられます。
実は、日本人の話し方がそうなってしまう決定的な理由があるのです。
そのキーポイントは「ハイコンテクスト」です。
これはプレゼンテーションだけでなく、日本人のコミュニケーション全体にも関わってくるのでとても重要です。
そして、このハイコンテクストはコミュ力において、ものすごく大きな影響を与えるので私たち日本人のコミュ力を決定づけている、といっても過言ではありません。
そこで、
コミュ力におけるメリット・デメリット、そして私たちはコミュ力においてどんなことを心がけていけばいいのか、をご説明したいと思います。
まず、ここでコミュニケーション上での「コンテクスト」とは
「コミュニケーションの土台」のこと。
具体的には
言語 ←英語と日本語、中国語と日本語 言語が違うというのは、当然「コミュニケーションの土台」が全然違う、っていうか違いすぎて、同じ言語でないとコミュニケーションできません。
経験 ←これは、同じ経験を一緒にしている人同士では「コミュニケーションの土台」も一緒といえる、ってこと。例えば、ずっと一緒にいて同じ経験をしている家族は「コミュニケーションの土台」も一緒。
知識 ←これはわかりやすい例としては「専門家同士」。同じ専門知識を共有しているので「コミュニケーションの土台」も一緒といえる、だから専門用語がバンバンでてきて一般の人にはわかりづらい。
価値観 ←これは、まぁ何を大事にしているか、ですよね。同じことを大事にしている人同士は「うん、うん、わかる!」って、通じやすい。「コミュニケーションの土台」が一緒ってことです。
それで、先のハイコンテクストに話を戻すと、その「コミュニケーションの土台」が一緒、またはたくさん共有しているのがハイコンテクストです。
ハイコンテクストのハイとはhight(高い)の意味です。つまり、コンテクストがハイ=高いってこと。
実はこの考え方で、世界中でどの国が「ハイコンテクスト」なのか調査した学者がいるのです。
アメリカの人類学者エドワード・ホールです。
そうしたら、このような結果がでました。
コンテクストの国別指標(出典: 「コミュニケーション学 その展望と視点」
私たち日本人は、世界で最もハイコンテクストであると・・・。
つまり「コミュニケーションの土台」が一緒、またはたくさん共有しているんですね。
その逆がドイツ人とかアメリカ人です。ローコンテクストといいます。
これはどちらが良いか、悪いかではありません。
それぞれの特徴です。
では、いよいよそのメリット・デメリットについて見ていきましょう。
ハイコンテクストのコミュニケーションの特徴は
「ノンバーバルなコミュニケーション」「相手に通じる・理解できるという前提」があります。
だから、
・あうんの呼吸、以心伝心で伝わりやすい ←欧米にはもはや、こんな概念すらない・・・
・相手の言いたいことを聞き手が察する力が高い← 空気を読む、ってやつ
・いちいち言わなくてもいいので、ラク♪
・相手の興味と関係なく好きにしゃべっていい ← 聞き手がついてきてくれる
・わかりにくい話し方をしてもいい ←理解しづらい、わかりづらい話し方でも聞き手の方が「私の頭が悪いから、理解できないのかも・・・」って勝手に自分のせいにしてくれる?!
・「話し方」が下手でも、その人の中身で勝負!という考え方が根強い ←まぁ、これがメリットだかどうだかわかりませんが・・・
・共感性が高い ←人情重視
いわゆる「忖度(そんたく)」ですよー。
そして、相手が言わなくても察する「おもてなしの心」
沈黙は金、などもそう。
このあたりは日本人の良さでもあります。
「侘び寂び(わびさび)」「禅」にも通じます。もはや日本文化です。
素晴らしいのです。
しかし!
何事も「いい面と悪い面」は同時にあります。
コミュニケーション上のデメリットもあります。
ひとことでいうと、「コンテクスト=コミュニケーション土台」が違う人とコミュニケーションをするのが苦手、というところです。
具体的には、メリットの裏返しですね。
・言語を使って何かを説明するのが苦手
・相手に「言わなくてもわかってほしい」と期待しがち ←これを外国人に期待してもムリ。
・相手の興味をそそる話をしようという考え自体が少ない
・独りよがりな、わかりにくい話をしてしまいがち
・思いつきで話しをしがち
・論理的な話し方が苦手 ←というか、考えが及ばないこともしばしば
つまり「相手がわかっている、通じる」という前提なので、「わかりやすい」とかあまり考えが及ばないのですね。
世界でも、もっとも相手をおもんばかる、日本人の話が全然「相手の理解やわかりやすさ」をおもんばかっていない、このパラドックス。
というか、気持ちはあるのですよ。絶対。
ところ、いざコミュニケーションとなると、気持ちをおもんばかると同時に「伝える」とか「わかりやすい」などという要素が入ってくるので、ルールが違ってしまうのですよね。
ノンバーバルであることは、コミュニケーションの土台が異なる人にとっては、デメリットとになってしまいます。
だって、コミュニケーションの土台が違うのだから「痒いところに手が届く」くらいまでしゃべってあげないとわかりません。
せっかく、中身があったとしても「伝わらない」のでは、もったいない。
そして、これは日本人同士でもコミュニケーションの土台が違う人同士では、やはり問題になってきます。
「あれだけ説明したのに、部下が言った通りに動かない」
「家族なのに、通じない」
「なぜ、これだけやっているのに周りの人に認められないのだろう」
などということはありませんか?
実はこれ、ハイコンテクストのコミュニケーションをしているからかもしれませんよ。
そこで、ポイントになってくるのが
「コンテクスト、コミュニケーションの土台が違っていても通じる話し方」をすることです。
コンテクストを超えられるような話し方、
そして、ノンバーバルに頼らない話し方をすることですね。
「わかりやすい話し方」ともいえます。
この具体的な方法はこちらの記事にありますので、お読みください。
ハイコンテクストの私たち日本人は、コンテクストが異なる相手とのコミュニケーションが不得手な傾向があります。
でも、問題点ははっきりしているので、これを乗り越えられる処方箋もはっきりしています。
この処方箋を身につけられれば
世界で最も相手の気持ちをおもんばかることができ、しかも、相手に通じるコミュニケーションの達人になれるはず!
もしかしたら、インド人の話す量にも、アメリカ人の話の上手さにもまさる、最高のスピーカーになれる可能性があるかもしれないのです!